申込者の57%が当日参加する — BtoBウェビナー参加率の一次データ5本で読む、数字の位置と打ち手
ウェビナーの告知を打ち終えたあと、もっとも正体がつかみにくいのが当日の参加人数である。申込者数は管理画面で数えられるのに、当日まで来てくれる割合は「平均どれくらいが普通なのか」という前提がないと、自分の数字が良いのか悪いのか判断できない。
この問いに一次データで答えると、申込(登録)から当日参加への転換率は57%という値が出てくる(ON24「2025 Webinar Benchmarks Report」の2024年実測、2025年2月公表)。一方で、別の配信プラットフォームLivestormが自社データで公表している平均参加率は46%である。つまり申込者の4〜5割は当日姿を見せない。この前提のうえで、参加率という数字の位置と、そこから導ける打ち手を整理するのが本稿の目的である。
本稿で引く数値は、出典名・公表年・サンプル数まで確認した5本の一次データに限定した。ウェビナー参加率を扱う記事は多いが、数字の出典が特定しにくいまま流通している例も多い。まず出典つきの値をそろえ、そのうえで打ち手を絞る。
ウェビナー参加率の平均は57%。登録した人の4割強は当日参加しない
申込(登録)者から当日参加者への平均転換率は57%で、ウェビナー参加の平均視聴時間は51分である(ON24「2025 Webinar Benchmarks Report」の2024年実測、2025年2月公表)。
ON24はBtoB企業のウェビナー配信に使われるプラットフォームで、この数値は同社プラットフォームの2024年の実測を集計したものである。1回あたりの平均参加者数は216名(前年比7%増)で、申込者が当日参加しない割合があっても、参加した層の視聴は51分に達する。転換率が57%ということは、登録した人の4割強は当日参加していない計算になる。
参加率の目安は、プラットフォームが変わると幅が出る。Livestormが自社の集計で公表している平均参加率は46%で、登録700万件超・ウェビナーセッション3.3万回分の自社データにもとづく(公表年はページ上で明記されていない。2026年9月2日アクセス)。ON24の57%との差は11ポイントで、**「参加率は40%台後半から50%台後半の間にある」**と読むのが、現時点の公表値に忠実な置き方である。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 申込→参加の平均転換率 | 57% | ON24「2025 Webinar Benchmarks Report」(2024年実測・2025年2月公表) |
| 平均参加率 | 46% | Livestorm自社データ(登録700万件超・セッション3.3万回分、2026年9月2日アクセス) |
| 業種別の参加率 | 製薬63%(最高)/広告33%(最低) | 同上 |
| ウェビナー参加の平均視聴時間 | 51分 | ON24(2024年実測) |
| 1回あたりの平均参加者数 | 216名(前年比7%増) | ON24(2024年実測) |
業種差も無視できない。Livestormの集計では製薬業界が63%で最も高く、広告業界が33%で最も低い。同じ形式で開いても、業種と母集団によって30ポイント動く数字である。自社の参加率を評価するときは、市場平均1本との突き合わせではなく、テーマと母集団が近い実測との差分で見るほうが誤読が少ない。
集客チャネルの実測 — セミナー一覧・ポータルサイト経由は24%
ウェビナーの集客チャネルとして「ポータルサイト」を選んだBtoB担当者は24%で、自社サイト69%、メール45%に続く第5位である(IDEATECH「BtoB企業のウェビナーに関する実態調査」、2023年4月実施・n=100、複数回答)。
そもそもウェビナーは一般的な施策になっている。BtoB企業の36.7%が昨年度にオンラインセミナーを実施し(施策全体で3位。ITコミュニケーションズ「BtoBマーケティングにおけるイベント施策に関する実態調査」、2025年10月実施・n=237)、その目的の最多はリードの獲得59.8%である。
| チャネル | 選択した担当者 | 補足 |
|---|---|---|
| 自社サイト | 69% | 集客の基軸 |
| メール | 45% | 既存接点への告知 |
| SNS | 32% | 拡散と再告知 |
| Web広告 | 29% | 新規層への露出 |
| ポータルサイト | 24% | 一覧から探す層への露出 |
| プレスリリース | 19% | 報道経由の露出 |
n=100(2か月に1回以上ウェビナーを実施するBtoB企業のウェビナー担当者、IDEATECH、2023年4月実施・複数回答)
この内訳から読めるのは、多くの主催が「自社の接点」で告知を完結させようとしていることである。自社サイト69%、メール45%と自社の接点で告知を完結させる傾向が強い一方で、主催企業と接点がまだない人に届く経路は、Web広告29%、ポータルサイト24%にとどまる。
「IT セミナー 一覧」「SaaS ウェビナー 一覧」といった語で検索し、開催予定を横断して探す層は、自社サイトやメールでは届かない。届けるには告知面を外に置くしかなく、その受け皿のひとつとして、IT・SaaS・AIのセミナーを一覧で探せる検索型のセミナーポータル(seminar.rootteam.co.jp)がある。
参加率は課題の第2位タイ — 「テーマ・内容」47%に次ぐ36%
ウェビナー実施時の課題として「参加率」を挙げた担当者は36%で、「告知・集客」と同率の第2位タイである(IDEATECH、2023年4月実施・n=100、複数回答)。
オンラインセミナーは「参加者の移動負担がなく参加ハードルが低い」ことが最大のメリットとされ、65.5%の担当者がその評価をしている(ITコミュニケーションズ、2025年10月実施・n=237)。申込は集まりやすい。だからこそ、申込者が当日参加しない問題は、集客の次の段階として正面から扱われることになる。
課題の内訳は次のとおりである。
- テーマ・内容: 47%
- 告知・集客: 36%
- 参加率: 36%
- リード獲得: 31%
- 効果測定: 30%
- コスト: 21%
同調査では、1回あたりの平均集客数は「41〜50人」が19%でもっとも多く、「201人以上」は14%である。**多くの主催にとってウェビナーは数十人規模の施策であり、その規模で4割が当日来ないとなると、参加率は集客数と同じ重さの問題になる。**なお、参加率の改善は告知を増やすより費用がかからない。既に登録済みの接点に対する設計の問題だからである。
参加しても「ながら見」は68.5% — 集中して視聴するのは31.5%
BtoBオンラインイベントの参加者のうち、最初から最後まで集中して視聴した人は31.5%で、68.5%は「ながら見」である(WACUL「BtoBオンラインイベントの実態調査」、2022年9月公開・n=162)。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 集中して視聴 | 31.5% | WACUL(2022年9月公開・n=162) |
| ながら見 | 68.5% | 同上 |
| アーカイブ動画の閲覧経験 | 92.6% | 同上 |
| 1回以上参加した人の繰り返し参加 | 93.8% | 同上 |
n=162(オンラインイベント参加者、WACUL、2022年9月公開)
この調査では、参加理由の93.2%が「業務に役立つ情報を得られると思ったから」で、参加目的は「ノウハウや事例を知るため」が99.4%、「導入検討のため」が40.7%である。参加者は本気で情報を取りに来ており、そのうえで視聴の6割以上がながら見になる。参加率という「来たか来ないか」の数字の次に、視聴の質という数字が立っている。
アーカイブ視聴経験は92.6% — ライブ参加率だけでは成果を測れない
BtoBオンラインイベント参加者の92.6%がアーカイブ動画の閲覧経験を持ち、2024年にオンデマンドでウェビナーを視聴した参加者は45%に達して、2022年から毎年1%ずつ増えている(WACUL、2022年9月公開・n=162/ON24、2025年2月公表)。
当日来なかった4割強は、必ずしも「失われた」わけではない。ON24の実測では、イベント終了後に録画やオンデマンドコンテンツへのリンクを登録者に送る自動ナーチャーシーケンスを使う企業と使わない企業で、次の差が出ている。
- 平均出席時間: 48分 → 53分(+10%)
- 平均参加者数: 208人 → 275人(+32%)
- オンデマンド参加者数: 89人 → 151人(+69%)
(出典: ON24「2025 Webinar Benchmarks Report」の2024年実測、2025年2月公表)
**ライブ参加率を単独の成功指標にすると、録画とアーカイブが生む分を見逃す。**参加率は「ライブの集客効率」の指標として使い、成果の計算はライブとオンデマンドの合算で行う。これが、この数字群の読み方である。
データが指し示す打ち手 — 数字から導ける3つの手
5本の一次データを並べると、打ち手は次の3つに収束する。
1. 登録後の接点を設計する。 転換率57%(ON24)という実測は、残りの4割強が「登録はしたが来ない」層であることを示す。同じON24の実測では、イベント後に録画へのリンクを送るナーチャー設計のある企業が、出席時間・参加者数・オンデマンド参加者数のすべてで高い値を出している。申込完了メールに録画視聴の前提を入れるなど、登録後の接点設計は参加率と成果の両方に効く。
2. 成果の計算式から「当日参加のみ」を外す。 ながら見68.5%とアーカイブ視聴経験92.6%(WACUL)は、ライブの場だけを成果の計算に入れる前提が崩れていることを示す。オンデマンド視聴45%(ON24)も増加傾向にある。録画を必ず置き、視聴時間と視聴範囲を計測する。
3. 告知面を、自社の接点の外にも置く。 集客チャネルとして自社サイト69%、メール45%に比べ、ポータルサイト24%(IDEATECH)はまだ薄い選択である。BtoBのイベント施策の調査では、メディア主催のオンラインセミナーを効果が高いと評価した担当者は51.9%で、自社主催の39.1%より高い(ITコミュニケーションズ、2025年10月実施・n=237)。自社の接点だけで告知を完結させず、一覧から探す層への告知面を別に用意するのが、数字に忠実な打ち手である。
まとめ
- BtoBウェビナーの申込→参加転換率は57%(ON24・2024年実測)、別プラットフォームの平均は46%(Livestorm)。申込者の4〜5割は当日参加しない。
- 業種差は大きく、製薬63%から広告33%まで幅がある(Livestorm)。
- 参加率を課題と答える担当者は36%で、「テーマ・内容」47%に次ぐ第2位タイ(IDEATECH・2023年・n=100)。
- 参加しても集中して視聴するのは31.5%で、68.5%はながら見(WACUL・2022年・n=162)。
- アーカイブ視聴経験は92.6%(WACUL)、オンデマンド視聴は45%で増加傾向(ON24)。成果はライブとオンデマンドの合算で測る。
- 打ち手は、登録後の接点設計・録画前提の計測・自社接点以外の告知面の3つに収束する。
よくある質問(FAQ)
Q. BtoBウェビナーの平均参加率は何%ですか?
A. 申込(登録)から当日参加への平均転換率は57%(ON24「2025 Webinar Benchmarks Report」の2024年実測、2025年2月公表)で、別プラットフォームLivestormの公表値は46%(登録700万件超・セッション3.3万回分の自社集計)です。40%台後半から50%台後半の帯にあり、業種差(製薬63%〜広告33%)も考慮して評価します。
Q. ウェビナーの参加率を上げるには、何から始めるべきですか?
A. まず登録後の接点設計です。ON24の実測では、イベント後に録画へのリンクを送るナーチャーシーケンスを使う企業は平均出席時間48分→53分、平均参加者数208人→275人と高く出ています(2024年実測・2025年2月公表)。申込完了メールへのカレンダー登録導線、開催前日のリマインド、録画前提の告知文が最初の一手になります。
Q. SaaSやAI系のウェビナーを一覧で探せるサイトはありますか?
A. セミナーポータルでは、IT・SaaS・AI系のセミナー・ウェビナーをテーマ別に一覧で探せます。AIセミナーの一覧では生成AI・AIエージェント・RAG別の内訳と開催予定を毎日更新で掲載しており、トップページからテーマ別に絞り込めます。
Q. ITセミナーの一覧ポータルに自社セミナーを掲載する意味はありますか?
A. 集客チャネルとしてポータルサイトを選ぶ担当者は24%(IDEATECH・2023年・n=100)で、自社サイト69%、メール45%に比べればまだ薄い選択です。一方で、メディア主催のオンラインセミナーを効果が高いと評価する担当者は51.9%で自社主催の39.1%より高く(ITコミュニケーションズ・2025年・n=237)、自社の接点を持たない層への告知面としての役割があります。
出典
- ON24「2025 Webinar Benchmarks Report」(2025年2月20日公表の日本語解説、2024年実測): https://www.on24.com/ja/blog/key-takeaways-from-the-2025-webinar-benchmarks-report/ — 登録→参加転換率57%、平均視聴時間51分、平均参加者数216名、オンデマンド視聴45%、ナーチャーシーケンス使用時の出席時間48→53分・参加者208→275人・オンデマンド89→151人。母集団はON24プラットフォームの2024年実測で、解説ページ上に母集団規模の明記はない。
- Livestorm「Webinar Statistics」(https://livestorm.co/webinar-statistics ): 平均参加率46%、製薬63%・広告33%。登録700万件超・ウェビナーセッション3.3万回分の自社集計。公表年はページ上で明記されていないため、2026年9月2日アクセス時点の公表値として扱った。
- 株式会社IDEATECH「BtoB企業のウェビナーに関する実態調査」(PR TIMES、2023年4月21日配信、n=100、2か月に1回以上ウェビナーを実施するBtoB企業のウェビナー担当者): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000045863.html — 課題の内訳、集客チャネル別選択率、平均集客数の分布。
- 株式会社WACUL「BtoBオンラインイベントの実態調査」(2022年9月29日公開、n=162、オンラインイベント参加者): https://wacul.co.jp/lab/posts/btob-online-event-report — ながら見率68.5%、アーカイブ視聴経験92.6%、参加理由・集客経路・繰り返し参加率。
- 株式会社ITコミュニケーションズ「BtoBマーケティングにおけるイベント施策に関する実態調査」(2025年10月3日〜8日実施、n=237、BtoB企業のマーケティング・広報・販促・企画担当者): https://www.it-comm.co.jp/news/b2b-event-survey-2025 — オンラインセミナー実施率36.7%、目的リード獲得59.8%、参加ハードルの低さ65.5%、効果評価 メディア主催51.9%・自社主催39.1%。
数値はすべて、執筆時点(2026年9月2日)に公表ページで確認した実値である。集計期間や母集団の定義が公表されていない数値(Livestormの平均参加率など)は、その旨を本文と出典に記した。